スマホを守るケースは、素材選びが一番大切。スマホケースに使われる素材はどのようなものがあるのか、素材そのものの特徴や、スマホケースとしてのメリット、デメリットを紹介します。

スマホケースの素材と印刷加工方法
ケースによく使われる素材と、オリジナルで製作する場合の、一般的な印刷方法や加工方法を一覧にしました。
種類 | 素材 | 印刷・加工 |
---|---|---|
ハード系 | ポリカーボネート | インクジェット印刷 |
メタル | インクジェット印刷、レーザー彫刻 | |
ウッド | インクジェット印刷、レーザー彫刻 | |
ソフト系 | シリコン | オリジナル成型 |
TPU | インクジェット印刷 | |
レザー系 | 牛革 | 型押し、箔押し |
PUレザー | インクジェット印刷、型押し、箔押し | |
山羊革、鹿革など | 型押し、箔押し |
素材を大きく分けるとハード系、ソフト系、レザー系の3種類です。スマホケースの素材は、硬いものや、やわらかいもの、オリジナルの印刷や加工方法も異なり種類が豊富です。
インクジェット印刷は、フルカラー印刷できるのでデザインの自由度が高く、オリジナルのイラストや写真などをスマホケースに印刷できます。
レーザー彫刻や型押し・箔押しは、ロゴなどワンポイントでデザインすることが多く、シンプルで高級感のあるスマホケースが製作できます。
ポリカーボネート
ポリカーボネート(英: polycarbonate)は熱可塑性プラスチックの一種です。熱を加えると溶けて、冷ますと硬くなので、さまざまな形状にできます。
耐衝撃性が高く一般的なガラスの250倍以上あります。耐薬品性がなく、アルコール、シンナー、ベンジンなどの有機溶剤を使用すると劣化します。アルカリ系接着剤は使用できませんが、ラインストーンでスマホをデコレーションする場合は、エポキシ系かウレタン系&シリコン系の接着剤がおすすめです。
- スマホケースとしての特徴
- ガラスと同等の透明性があり、可視光線透過率80%~90%
- 加工しやすいので、ケースの薄さ1mmでiPhoneにぴったりと装着できる
- 軽いので、iPhoneケースを1つ約15グラム(お水大さじ1杯の重さ)で作れる
- イラストや写真、細い文字までフルカラー印刷できる
- 高温や高湿度の環境では加水分解してベタベタになる
- 日光に長くさらされると紫外線で黄ばむ

実際の使用感
ケース本体は非常に薄くて軽い。ケースをスマホ本体に装着するとき、ケースに柔軟性があるので多少ひねりながら簡単に装着できました。スマホ本体にぴったりとフィットしているので片手で操作がしやすく、側面が湾曲していることで手になじむ感じがしました。無地ケースの場合は、表面は少しツルツルした感触で、指紋が目立ちました。


メタル
金属のことです。アルミニウム、金、銀、銅、真鍮、鉄、ステンレス、銅、鉛などの金属元素と合金の総称です。金属というと、硬い・割れにくい・電気や熱を通す・光沢があるイメージがあります。
アルミニウムは薄くて軽い加工ができることから、スマホケースでよく使われます。銅は熱伝導率が高いので、スマホの熱を放出するシートも売られています。スマホケースでも使われているジュラルミンは、アルミニウムと銅、マグネシウムなどのアルミニウム合金ですが、軽くて強度が高い素材です。
- スマホケースとしての特徴
- アルミケース全体にスマホの熱が拡散されるので放熱性が高い
- イラストや写真をフルカラー印刷ができる
- 強度が高く軽量で薄いスマホケースが作れる
- 電波の受信状態が悪くなることがあるため、バンパーケース(側面だけのカバー)や、穴が開いてるケースが多い

実際の使用感
装着時は、フレームの一部がゴム製なので脱着が簡単にできました。まるでケースを装着していない見た目です。非常に軽くてケースを付けている感じがしません。本体との密着度が高いので手に持ったときの負担が少なく、ボタン操作もラクラク。側面のホイールが持ち手の指にフィットして、ツルッと滑り落ちる不安は少なく感じました。しかし、もし落下したときは液晶画面を守るのは難しいでしょう。


ウッド
チェリーウッド、ウォールナット(くるみ)がスマホケースでよく使われます。天然木は木目や色目の違いがあります。手に優しくフィットして、使い込むほど手の油が付着して光沢のある質感に変化します。
スマホケースにする場合は、木の質感を生かすためにロゴなどのシンプルなデザインをレーザーで焼き付ける加工が多くみられます。
- スマホケースとしての特徴
- 薄い加工ができて軽い
- 木のぬくもりに癒やされる
- 破損しても修理できる商品がある
- 乾燥によるひび割れや、湿気でカビて変色する
- 過度な力を加えると割れる
- つるっと滑りやすいケースもあるので落下しやすくなる

実際の使用感
TPUシリコン混合薄木製で検証してみます。最近は木製のみのケースが少なく、使い勝手の良さからシリコン混合のケースが多く見られます。ケースの背面が木製で、側面と裏面がTPUシリコンでできています。ケースの脱着も簡単で、ほとんどシリコンケースのような感触です。背面全体が木製なので高級感があります。軽くて丈夫で使いやすい印象です。しかし、木製部分はツルツルしているので滑りやすい感触です。


シリコン
ケイ素のことで、シリコンを原料に人工的につくられたシリコン樹脂がシリコン製品の材料です。シリコン樹脂は非常にやわらかいので耐衝撃性が高く、200℃以上の温度に耐えることができます。撥水性もあるので多少の水なら弾きます。
- スマホケースとしての特徴
- 100均で販売されるほど安価で作れる
- 凹凸のある個性的なスマホケースが作れる
- ゴムのようにやわらかいのでスマホケースの着脱が簡単
- 粘着性があるので、ポケットの中の小さな汚れや指紋が付着して薄汚れてくる
- 布との滑りも悪いのでポケットの出し入れがしにくい
- 変色する

実際の使用感
シリコンなのでケース自体を半分に折りたためるくらいやわらかいです。手に吸い付くようなフィット感があるので、スマホケースの落下も防止できます。デザインにもよりますが、ケースに厚みがあることでスマホが一回り大きくなり、重みを感じました。そのため片手でのスマホ操作がしにくくなります。少し粘着性があるので指紋や汚れが付着しやすいです。

TPU
熱可塑性ポリウレタン(英: Thermoplastic Polyurethane)は、やわらかく透明でゴム状のものです。ゴムのような弾力性とプラスチックのような強さをあわせもった高分子化合物のことです。衝撃に強く、耐水性もあります。
熱を加えるとやわらかくなる特徴があるので、加工しやすいことから軽量で薄型のスマホケースを作れます。熱を加えると変形するので、炎天下の車中に長時間放置するのは避けましょう。
- スマホケースとしての特徴
- 100均で販売されるほど安価で作れる
- リサイクルしやすいので環境に優しい
- 市販品の「そめそめキット」を使えば自作で着色もできる(染める際に低温だと染まりにくく、高温だとTPUが変形するので70~80℃の温度を保ち染色する)
- 熱に弱いので熱源の近くに置きっぱなしすると変形する
- 透明ケースは紫外線を吸収すると黄ばむ
- 除光液やシンナーのような化学薬品に弱い

実際の使用感
ケース自体を半分に折りたためるやわらかさがあります。TPUはシリコンに比べて少し硬い素材なので、ケースが薄く成型できるためスマホ本来のフォルムを崩していません。ケースの脱着も簡単にできます。非常に軽いのでスマホ操作も長時間できました。手に優しくフィットするのでスマホが滑り落ちる心配はありませんでした。


牛革
牛革は、生きた動物の革なので、キズやシワ、毛穴などが残っています。やわらかくしっとりした感触が特徴で使い込むほど味わいが出てきます。吸湿と放湿に優れているので靴などの生地に最適です。本革のしっとりした質感を維持するにはメンテナンスがとても大切です。
カビが発生しやすく水分や摩擦に弱いので手入れが必要ですが、スマホケースを永く愛用したい方におすすめです。しかし、スマホケースにした場合は、重量と厚みがあるので実際に手にして購入を決めたほうがよいでしょう。

- スマホケースとしての特徴
- 耐久性が高く、手に馴染み長く使える
- 弾力性と柔軟性が高いので加工しやすい
- 使い込むほど味わいのある色になる
- PUレザーに比べて価格が高い
- 大量生産にはむいてない

実際の使用感
革製品は手帳型スマホケースが多く見られます。とにかく、見た目が上質で高級感があります。牛革なのでケースの使い始めは硬く感じますが、使い込みほどにやわらかくなり自分の手にフィットするようになりました。片手での操作や長時間の使用は難しいですが、牛革に薄さと軽さを求めてはいけません。そのぶんスマホ落下時に守ってくれそうな安心感がありました。
PUレザー
合皮(英: Polyurethane)ポリウレタンの略で、本革に似せて作った人工レザーのことです。質感は本革と遜色がないものが多く、撥水性に優れているので軽い汚れならサッと拭くだけできれいになります。弾力性と柔軟性が高いので加工しやすい素材です。
- スマホケースとしての特徴
- 本革よりも安価で作れる
- イラストや写真をフルカラー印刷ができる
- 水をはじくのでメンテナンスが簡単
- 湿度の高いところは水によって化合物が分解されて表面が剥げる
- 通気性がよく高温を避けた場所で保管すると長持ちする

実際の使用感
本革よりも薄くてやわらかいケースです。本革の表面にあるキズやシワがないので少しツルツルとした感触です。軽いので手に持ちやすく長時間スマホを操作しても負担がありませんでした。1年以上、PUレザーのスマホケースを使用していますが印刷が剥げたり、汚れもさほど気になりません。しかし、本革のように使い込むほどに味わいが出ることはないでしょう。

山羊革、鹿革など
レザー製スマホケースの中でも牛革の次に人気があるのが山羊革と鹿革です。これらは高級革素材なので牛革と比べて価格が高く、1点ものとして価値があります。
山羊革の表面にはシボ模様と呼ばれる小さくてきれいなシワがあります。摩擦に強く、薄くて丈夫です。鹿革は、軽くて丈夫で通気性が良いことから、お財布やかばん、スマホケースでも使われています。
- スマホケースとしての特徴
- やわらかく、薄くて軽い
- 滑らかな手触り
- 高級感がある
- 価格が高い
- 大量生産ができない
- やわらかいので傷つきやすい
実際の使用感
手帳型スマホケースがほとんどです。高級感があり上品なイメージがあります。肌ざわりがフワフワとして手に吸い付くような質感です。肌理が細かくやわらかいのが人気ですが、そのぶん手の汚れが付着しやすく落ちにくいので、クリーナーでまめにメンテナンスしないと薄汚れてきます。
オリジナルスマホケースに使われる人気の素材
スマホケースをオリジナル製作する際に、よく使われる人気の素材を1位から3位まで紹介します。
1位 ポリカーボネート
最も多いのはデザインの自由度が高いポリカーボネートです。1つから安価で作ることができます。1mmの薄さで成型できるので、スマホの形状を損なうことがありません。軽くて丈夫なので日常使いに最適の素材です。印刷の発色もよく、細かい文字やグラデーションまできれいに再現できます。

数量:1個から作れる
印刷:フルカラー印刷(インクジェット)
価格:1個=1,010円(弊社10個注文時)
納期:5営業日
2位 PUレザー
本革に近い高級感がありながら、撥水性に優れているので日常使いに人気があります。デザインの自由度が高く、写真やイラストなどをフルカラー印刷できます。ケースの表面には型押しや箔押しもできるので、ポリカーボネートにはないケースを作ることができます。

数量:1個から作れる
印刷:フルカラー印刷(インクジェット)、型押し、箔押し
価格:1個=1,350円(弊社10個注文時)
納期:7営業日
3位 TPU
100均でも販売されるほど安価で作れるので、市販されているスマホケースの種類は豊富です。無地のスマホケースを購入して自作で色を付ける楽しみ方もできます。

数量:1個から作れる
印刷:フルカラー印刷(インクジェット)
価格:1個=1,200円~2,500円くらい
納期:2日~1週間くらい
まとめ
スマホケースに選ばれる素材は、生産のしやすさ、デザインの自由度、軽量で丈夫であることが大切です。機種変更した時にケースも取り換える方が多いので、品質とコスト面からもスマホケースに適した素材を探してみてくださいね。